
常磐炭礦内郷礦の水中貯炭場の遺構。
貯炭場は、上流にある(機械化された選炭作業での選別後)選炭施設から運ばれてくる石炭を出荷までの間、一時的に貯蔵する施設です。
出荷時には施設下部の排出口から、直下に敷かれた日渡線(常磐炭礦専用鉄道)の石炭車に積み込まれ、常磐線綴駅(現在の内郷駅)に接続、関東圏に販売するため隅田川駅まで鉄道で輸送されていました。
他の貯炭場と異なるのがその保管方法で、名称のとおり水中に保管するものでした。石炭は空気に触れると劣化し、他地域の炭鉱で採掘される石炭と比べて品質が低いことから、出荷までの間、水中に貯蔵することで劣化を防ぎ、石炭の商品価値を高めることを目的としたものです。
水中貯炭場が建造された1954年当時、国内で水中貯炭を行っている所はなく、国内初、最先端の施設でしたが、それ以上のデメリットもあったことから、他の炭鉱等に普及することはありませんでした。

石炭車への石炭投入口